3◇ 地震の原因はいろいろ
日本では、ナマズが暴れると地震が起こると言われます。これは、1855年の安政江戸地震の後に、ナマズ絵と呼ばれる錦絵が数多く出回ってこの俗説が定着したものです。そこで、その真偽を確認すべく、東京都水産試験場で16年間に亘って、ナマズと地震の関係についての研究がおこなわれました。その結果、この間に起った震度3以上の約90の地震について、ナマズの明らかな異常行動が10日前に見られたものが約3分の1あったと報告されています。ナマズを含め、動物には地震の前のいろいろな異常を敏感に感知する能力があると考えられますが、科学的には裏付けられていません。
地震の原因に関するこのような俗説は、日本に限らず、世界の各地にもあります。お隣の中国では、「地牛翻身」という言葉があり、地中で牛が体をバタバタさせることによって地震が起こると考えられています。また、インドでは、大地の重みに耐えかねた巨象の吐息によって地震になると言われています。インドの場合、古代抒情詩ラーマーヤナの物語の中には、ラーヴァナという10本の手を持つ悪神が、ヒマラヤのカイラーサ山を揺すって地震を起こし、シヴァ神に懲らしめられるという話もあります。メキシコでは、スペイン語で悪魔を意味するエル・ディアブロが地震を引き起こすと言われています。インドネシアでは、あらゆる災害は、人間の愚行に対する神の怒りと考えられています。これなど、あながち俗説だと否定できないところですね。
2016年9月 梶(関町北2丁目防災会)