2◇ 地震は予知できるか?
いま、大規模地震対策特別措置法という昭和53年に出来た法律を、廃止するべきだという意見が専門家の間から出され、メディアを賑わしています。と言うのは、この法律は、地震が予知できるという前提のもとに作られたのですが、最近の研究では、地震の発生の仕組みは、従来考えられていたよりもはるかに複雑で、予知することは極めて難しいということが分かってきたからです。
ところで皆さんは、「予知」と「予測」の違いについて知っていますか?「予知」というのは、いつ何日に、どのくらいの規模の地震がどこで起きるかを、警報の発令につながるような精度で、言い当てることです。一方、「予測」は、ある程度の期間内に、だいたいどの辺にこの程度の規模の地震が起きる可能性があるという、あいまいな情報です。いずれも、地震の前兆となる微小な地震活動や地殻変動、あるいは深井戸の水位変動などをとらえて判断するわけですが、そのためには、地震の起こる可能性が高い場所に、それらの前兆現象を観測する詳細な観測網が必要となります。
現在、そうした観測網が設置されているのは、「東海地震」の「予知」を目的とした、静岡県の駿河湾一帯だけです。ただし、この観測網をもってしても、はたして旨く前兆現象が捉えられるか分からないし、東日本大震災のように震源域が100kmも広がったことを考えると、お隣の東南海地震や南海地震の影響を無視した観測網では意味がない、ということになったわけです。したがって、冒頭のこのコラムの質問への答えは、『東海地震以外の地震は「予知」の観測体制がない。また、東海地震も「予知」に成功するかどうか分からない』という、何とも頼りないものとなります。ですから、よくメディア等で、何月何日地震が起きると誰誰先生が言った、という類の報道がされますが、全くのデマと言えます。
2016年9月 梶(関町北2丁目防災会)